西表島カヌーツアー風車スタッフブログ

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 令和6年度レプトスピラ症対策研修会に参加しました 2024年6月18日


こんにちは。
西表島風車のしゅうさんです!

昨夜、数年ぶりに開催されたレプトスピラ症対策研修会に参加してきました。
本日のブログをお読みになる前に、まずは復習として下記のブログをご覧ください。

《ブログ》西表島で遊ぶ方へ「レプトスピラ症」について

◆新人ガイドこそ関心をもってほしい

八重山保健所が主催のレプトスピラ症対策研修会にスタッフ全員で参加しました。

先日のさかなクンの講演会と同じ会場で同じ時間。
その日は開演30分前には駐車場もほぼ満車、席を確保できず立見の人も大勢おられましたが、今回の研修会はたったの12人…。
西表島には多くのツアーガイドがいるのですが、皆さん忙しいのでしょうか?

ガイド歴が長い人にとっては実際にレプトスピラ症に罹患した人もいるし、その時の辛さから感染対策を施しながら仕事をしていると思います。

保健所の統計によると、八重山管内でレプトスピラ症に罹患する人の半数がガイド関係者、そのうち21%はガイド歴半年未満の人だそうです。

ちなみにレプトスピラ症に罹患する人の割合は沖縄県が日本全体の32%~71%を占めるそうです。そして沖縄県内においてその35%~92%は八重山が、そしてその半分がガイド関係者。ツアーガイドにとってレプトスピラ症が労災認定されるのももっともですね。

レプトスピラ症に感染すると症状の重さに個人差はあるものの、辛いことに違いはありません。
あえて感染してレプトスピラ症とは何か、身をもって知る必要はまったく無いのですが、研修会や罹患経験者の話などを通して予防対策の知識を深めることはとても大切です。

3月に入社し、ガイドとして初の夏を迎える当店の新人ガイドにとって、今回の研修会参加はとても重要です。

◆ツアー中の呼びかけ

当店のツアーでは、ツアー中に担当ガイドよりレプトスピラ症についての説明があります。その際、特にお伝えしたいことは、

  • 身体に傷があるか?
  • 河川が濁っていないか?
  • 服装は適切か?

レプトスピラ症の感染経路から、以上の点について滝つぼで泳ぐ時は要チェックです。

万が一、西表島のジャングルで遊んだ日から3~14日後に38℃超の発熱、頭痛、筋肉痛などの症状がでたら、医療機関で行動歴(西表島に●月●日頃に行った)、河川や土壌との接触の有無などを医師に伝えましょう。

<沖縄県>レプトスピラ症とは?

◆当店ガイドのレプトスピラ症対策
  • 予防薬の内服(希望者のみ)
  • 毎朝の健康チェック(体温、血圧など)
  • ケガをしている時は川で泳がない
  • ツアー終了後は清潔な服に着替える
  • 講習会に繰り返し参加

それほど難しい対策ではありませんが、確実に続けていきたいと思っています。

特にレプトスピラ症になるメインの季節は夏です。夏は暑くて身体も疲れ気味の日が続きますが、定期的に休みをとりながら今年の夏はレプトスピラ症ゼロに取り組みたいです。

皆さんも流れのない場所に溜まった水や泥に触ったり、ケガをしているのに無理に川で泳がないように気をつけてくださいね。

 西表島に《さかなクン》がやってきたよ!! 2024年6月16日


こんにちは。
西表島風車のしゅうさんです!

昨夜、西表島に魚類学者であり、タレントであり、イラストレーターであり、さらには東京海洋大学客員教授でもあるさかなクンがやって来ました!

「西表島にさかなクンが来る!」ということで講演会場の中野わいわいホールは開始時間7時の30分前から満席。

立ち見の方も大勢いるほど、西表島ではなかなかお目にかかれない盛り上がりとなりました。
あまりの熱気にエアコンの効きも悪くなったような…(汗

◆さかなクンと語ろう!世界有数の生物多様性をほこる西表島・浦内川

今回の企画は、さかなクンが大々的にPRされていたのでたくさんの子供たちも集まっていたのですが、な、なんと、2時間の講演会のほとんどが大人向けのお話。

さかなクンの登場を今か今かと待ちわびるちびっ子たちでしたが、30分を経過した辺りからあちらこちらでシビレを切らしてしまう子続出。

パンフレットの見た目や雰囲気は子供向けかな?と思えるのですが、プログラムの一つ一つは大人向けだったみたいです。

◆とはいえ興味深いお話ばかり!

西表島で一番、沖縄県で一番の大きさを誇る浦内川(うらうちがわ)には、400種類以上の魚がいるとか。

これは日本三大清流の一つ、高知県の四万十川の2倍の種類の魚が生息しているということですが、浦内川にいる400種類上の魚のその多くが絶滅危惧種だそうです。とても貴重な川だということがわかります。

登壇された研究者の方々のお話はとても興味深いものばかりでしたが、たくさんの子供たちの騒ぎ声の中だったので、あまり集中して聴くことができませんでした(涙

できることならYouTubeで公開してもらい、おさらいしたいです…

◆満を持しての登場!

そしていよいよ、さかなクンの登場!となると会場の熱気は一気にヒートアップ。

お決まりの白衣にハコフグちゃん帽子。
テレビに映るそのままのさかなクンがぴょーんっ!と舞台に現れると、会場にいるみんなが笑顔になりました。

さかなクンはあらかじめ大きな紙に魚のイラストを描き、そのイラストを元にクイズを出題。
回答した子の言葉からさらに魚について掘り下げたお話をし、最後はそのイラストにサインをしてプレゼントするという流れでした。

最後の質問コーナーでは、地元の中学生が「この魚は何ですか?」とスマホの動画をさかなクンに見せたところ、さかなクンにも研究者の先生にもわからず、あらためて西表島に生きる魚の奥深さを会場にいた人全員が感じてシンポジウムは終了となりました。

さかなクンは「さかなクンのイラストをゲットした子はきっと魚好きになるんだろうな」と感じさせる優しい語りかけとユニークで精密なイラスト、全身を使っての解説がとても魅力でした。

魚に対する深い深い愛情と知識、即興で描くイラストは会場から感嘆のため息がでるほどお見事でしたよ。

 【救命救急講習会・法令講習会】に参加しました 2024年6月1日


こんにちは!
西表島風車のしゅうさんです。

先日、竹富町の観光ガイドを対象とした“救命救急講習会・法令講習会”にスタッフ全員で参加してきました。
西表島でカヌーやSup、トレッキング等の自然ガイド事業に携わっている者は、竹富町の条例に従って年に一度は受講する義務があるのです。

◆救命救急訓練

心肺蘇生やAEDの使い方、止血、熱中症などの基本的な応急手当について学びます。

ガイドを続けていると何度も同じことを訓練してきましたが、実際に救命救急を必要とする場面に遭遇した時に素早く対応できるよう、やはり定期的に訓練を続ける必要があります。

それと同時に、救命救急を必要としないツアーを開催するためにはツアー出発前、ツアー中におけるゲストの体調チェックをこれからもしっかりやっていきます。

◆法令講習

竹富町、林野庁、環境省、沖縄県の担当者からさまざまな法令について説明を受けましたが、一つ、一つを完璧に理解するにはかなりの時間が必要です。

基本的には当店がこれまで25年間、続けていたツアーをこれまで通り続けていたら問題はないはずです。ただ、今年、新しいスタッフも入ったことだし、これまで続けていたことが正しく行動できているかを定期的に確認していかないといけません。

▼竹富町
案内人条例について

▼沖縄県
沖縄県希少野生動植物保護条例について

▼九州森林管理局
入林届について

▼環境省
西表石垣国立公園について

◆西表島エコツーリズム推進全体構想

これらの講習の根幹には西表島エコツーリズム推進全体構想があります。

西表島で長く、正しくガイドをしていくにはこの全体構想を理解していく必要があります。
年に一回の講習会で満足することなく、ツアーの参加者にもわかりやすく説明できるように風車のガイド全員がこれからも学び続けていきたいと思います。

 目標20億!観光業の未来はどうなるの? 2024年1月26日


こんにちは!
西表島風車のしゅうさんです。

昨夜、竹富町が新たに導入しようとしている訪問税(仮称)についての住民説明会がありました。「訪問税って何?」という方、まずはこちらをご覧ください。

◆竹富町の説明を簡単にまとめると…
  • 竹富町は観光客のために毎年約10億円を税金から支出している(ゴミ、上下水道使用、道路整備、Wi-Fi整備)
  • 観光客が増えると支出も増えるが税収入は増えない
  • 今後、持続的な行政サービスをするには毎年20億円は必要
  • 竹富町の島々に入る観光客から1人あたり2,000円ほど徴収したい(年間観光客100万人×2,000円=20億円)
◆住民からの意見
  • 「2,000円は高い」という声が多い中「もっと強気でもいいのでは?」という方も
  • 進学で島を離れた子供も課税対象か?
  • 仕事や地域行事のため島に入る人も課税対象か?

などなど、様々な状況を想定した意見が挙げられました。
概ね、住民のほとんどは“竹富町の自主財源が乏しい”という現状を理解し、訪問税の導入については賛成の様子で反対意見は出ませんでした。

◆訪問税2,000円導入でどうなるの?

今回、指導的立場である税金学者の先生が作成された資料に以下の一文がありました。

このブログは当店が存続する限りネット上に残りますが、上記のご意見の答え合わせは導入された5年後くらいに分かると思います。制度の見直しが5年毎らしいので…

◆しゅうさんの疑問

“観光客が増えれば竹富町が支出するお金も増える”

その理屈はわかるのですが、では実際に観光客が増えるとどのくらい支出が増えるのか?
竹富町の回答は“観光客100万人は住民1,400人に匹敵”とのことです。

なぜなら、竹富町の見立てでは住民と観光客が町の予算を使用する割合は、住民67%、観光客33%と考えている。その算出根拠は観光客の総滞在時間と住民の総滞在時間から割り出している。とのことでした。

令和5年12月末の竹富町の人口は4,247人なので、その33%の約1,400人の観光客分を含めた予算を立てているそうです。観光客の総滞在時間をどのように測定したのかがよく分からないため、そもそもこの数字が正しいのかも分かりませんでした。

◆税金の使いみち、大丈夫?

“Wi-Fi整備に5年間で1億5,200万円”

これだけのお金を観光客分として使ったそうです。総額のうち33%でこの金額…ちょっと驚きでした。
竹富町のWi-Fiが使えるエリア

ちなみに令和3年の予算では観光客が排出するごみや排水の処理に4億4,700万を計上しました。
令和3年といえば西暦2021年。コロナ禍の影響で観光客が激減した年です。その年の入域者数は395,204人なので一人あたり1,131円。

竹富町が観光客一人当たりどのくらいの滞在として算出しているのか分かりませんが、私個人の実感としては、それほど多くゴミなどを排出しているイメージはありません。
竹富町入域客数

◆何でもかんでも観光客を理由にするのは反対

今回の説明会では、
「観光客が増えても行政サービスが追い付かない。町が持続的な発展をするには観光客にも一部(33%)を負担していただく必要がある。」
と繰り返し説明されていました。確かにその理屈は理解できます。

しかし、
「観光客が増えると竹富町の支出も増大する。しかし収入は一切増えない。」
と決めつけるのは反対です。

観光客が増えても竹富町の収入は一切増えないのでしょうか?

観光業者にとってたくさんの観光客が来島されることはありがたいことです。
観光業者が利益を出せば個人、法人からの住民税も増えます。島には多くのレンタカーが走っていますが多くは軽自動車で、軽自動車税は竹富町に納めています。観光業者が事務所を建てたら町に固定資産税を納めます。

それでも足りない支出はどうするか?
それを観光客に負担してもらうだけでなく、そもそも税金の無駄遣いはないのか?
そこも併せて検討してほしいです。

◆西表島世界遺産センター整備基本計画

竹富町は西表島に世界自然遺産センターなるものをつくる予定です。

西表島世界遺産センター整備基本計画

これをつくるには大きなお金が必要。完成したら維持費も必要。何十年か経って最終的に解体するにもお金が必要です。

竹富町は年間100万人の観光客が来ることを前提に様々な取り組みをしていますが、私は常日頃から観光業はそんなに甘くはないと思っています。元日の石川県での大地震を見て、あらためてその思いが強くなりました。

自主財源が増えたから箱物を増やし、できなかった新しいサービスをするという発想だけでなく、台風や地震などに備えた防災にも力を入れてほしいです。

特に台風時でも停電しない町になれば(最近は好天の日でもチョコチョコ停電しますが…)、住民も夏場に島を訪れる観光客もありがたいのではないでしょうか。

以上、しゅうさんの思う訪問税に関する報告でした。

 竹富町の訪問税(仮称)について考える 2024年1月22日


こんにちは!
西表島風車のしゅうさんです。

ここ最近、西表島の観光業者では昨年から竹富町が始めようとしている「訪問税」について話をする機会が増えてきました。

内容はというと、石垣島から竹富町の島々にフェリーを利用する際に税金が徴収されるそうです。2024年3月の議会に条例案を提出する流れだとか…。

▼竹富町の訪問税に関するニュース
OTV沖縄テレビ
八重山毎日新聞

◆広島県「宮島」の場合

ちなみに全国では広島県にある日本三景の一つ、宮島でも「宮島訪問税」が導入されているそうです。
宮島訪問税の概要 廿日市市HPより

一回の訪問で税額は100円。これまで宮島へ行くためのフェリー代は往復で400円かかりましたが、訪問税100円の徴収が始まり500円となりました。

400円から500円へ。しゅうさん個人の感想としては、とてもリーズナブルで特に違和感は感じません。

◆我が町、竹富町の場合

今回、竹富町が検討している税額は2,000円です。

2024年1月現在、石垣島から一番近い竹富島までのフェリー代は往復で1,520円、一番遠い波照間島にいたっては7,830円かかります。
そこへ訪問税2,000円の徴収が実現すると、竹富島は3,520円、波照間島は9,830円も費用をかけなければ石垣島から往復できないのです。

これでは「石垣島に滞在しながら竹富町の島々をアイランドホッピングしよう!」という観光客は減ってしまうのではないでしょうか。石垣島に住んでいる方も気軽に離島へ遊びに行けなくなりそうです…。

そして、ここからは悪い予想ですが…

もしも訪問税の導入を石垣市も始めたら、竹富町の島々を訪ねるには石垣島を経由するしかないので2つの自治体に納税することになります。私たち竹富町民も石垣島へ通院や買い出しなどの所要で出かける度に税金を納めなければなりません。

まだ石垣市で訪問税を始めるという話は聞いていませんが、そのような状況にならないことを強く願います。

◆沖縄県「宿泊税」の導入を検討

ちなみに沖縄県では「宿泊税」の導入を検討しているそうです。
沖縄県が「宿泊税」導入へ 琉球新報より

コロナ禍前は竹富町の入域者数は年間100万人を超えていました。
現在、竹富町はコロナ禍以前の水準に戻る、さらにはコロナ禍以前よりもさらに観光客が増えてオーバーツーリズムになる可能性があることを前提に議論が進んでいるように思えます。

しかし、観光業を25年以上している身として思うことは“いい時もあれば悪い時もある”です。

観光業は政治や経済の影響を受けやすいし、特に沖縄は繁忙期に台風が何度も襲来するエリアです。一つの台風で売上が大きく下がるリスクを常に抱えています。このまま順調にコロナ禍前の賑わいを取り戻すのか…正直、疑問です。

◆買い手市場の西表島アクティビティ業界

現在、西表島にはアクティビティ関連の同業者が115社以上あります。
竹富町観光案内人事業者一覧

アクティビティ事業者は年々増加する一方です。今後、訪問税導入が原因で入域者数が減少した場合はかなり厳しい経営環境が予想されます。

訪問税についての条例は5年に一度見直しをするそうですが、5年間も様子を見るのは長すぎると思います。

◆竹富町が掲げる「責任ある観光」

竹富町が発する竹富町観光振興基本計画の施策方針には、以下の4つの方針が掲げられています。

  1. 「責任ある観光」の構築
  2. 観光による経済波及効果の増幅
  3. 観光と、自然・暮らしとの両立の推進
  4. 観光の観点から見た町内全般の課題解決

竹富町観光振興基本計画

各島々では訪問税導入に向けての住民説明会が開催されつつあります。しゅうさんも必ず参加し、不安や疑問に思うことはどんどん質問していきたいと思います。

竹富町が掲げる施策方針が今後どこまで推進されるのか…。竹富町内外を問わず、多くの方々に注目していただけたらと思います。

 【最終章・まとめ編】離島から離島へ…行ってきたよ南大東島! 2023年12月14日


【第2章・観光編】はこちら

◆南大東島を訪れる前の予習

今回の研修は2泊3日と短期間なので、事前学習として下記の2冊を読んでから出かけました。

●南大東島の自然(ニライ社)
→amazonでの販売

●南大東島の人と自然(南方新社)
→amazonでの販売

◆雨が多い西表島、雨が少ない南大東島

西表島の年間雨量が約2,300㎜に対し、南大東島は約1,600mm。特に今年は夏に襲った台風6号以来、少雨傾向が続いてたそうです。
しかし、今回は雨の中での到着でした。
農家さんはホッとされたことと思いますが、雨続きの西表島から来た私たちにとっては雨雲と一緒に旅をしているような感じでした(笑)

◆南大東島の名物&お土産

ここで南大東島といえば鉄板の特産品をご紹介します。

▼大東そば、大東すし

▼ナワキリ(クロシビカマス)

▼お土産

ラム酒、ラム酒ケーキ、マグロジャーキー、大東ようかん、まぐろみそ、パパイヤの漬物、黒糖わたあめ

◆今回お世話になったホテル

島で一番の客室数を備えるホテルよしざとに宿泊しました。島の中心部に位置するので、徒歩で外食へ出かけることもできて便利でした。

ホテルよしざと

最近、オーナーが変わったそうですが、新オーナー、オーナーの弟さん、御父さん、スタッフの方々。みなさんホスピタリティがありとても居心地がよかったです。
食堂が4階なので食事中には島を一望することもできます。

◆大東観光商事の垣花さん

3日間の滞在中、我々一行に快適なアテンドをしていただいた大東観光商事の垣花さんご夫妻。本当にありがとうございました。
南大東島の旅を計画される方は、ぜひ大東観光商事さんにご相談いただければと思います。

大東観光商事

◆南大東商工会

今回の研修旅行を強くサポートしてくださった南大東商工会の皆さま。研修資料の作成や感動のお出迎えなど、本当にお世話になりありがとうございました。
機会があれば竹富町にもぜひお越しください。もちろん熱烈大歓迎です!

南大東村商工会

◆最後に

南大東島の旅はいかがでしたか?
近くて遠い大東諸島。次回はもっと時間に余裕をもって北大東島も訪ねてみたいです。

北大東島観光ナビ

同じ沖縄県民として共感できる部分もありながら、西表島では感じたことのない独特の価値観に驚かされたり、大変興味深い心に残る思い出がたくさんできました。

南大東村観光協会のホームページには旅の計画に欠かせない情報がすべて掲載されています。みなさんも機会がありましたら、ぜひ絶海の孤島「南大東島」へ足を運んでみませんか?

南大東村観光協会

 【第2章・観光編】離島から離島へ…行ってきたよ南大東島! 2023年12月13日


【第1章・大移動編】はこちら

◆観光地としての可能性

南大東島の現在の観光客数は年間おおよそ3,000人で推移しているとのこと。

「1日あたり8人!?」

西表島で観光業を営む私からすると、少なすぎてビックリの数字です。観光客が今以上に増えるには、まずは航空機の大型化もしくは便数の増加がなければ厳しいであろうと思われます。

では、空路ではなく海路ではどうか?
南大東島を訪ねたいと思っている旅好きな方なら、貨客船からクレーンに吊るされたゴンドラに乗って上陸するシーンに憧れを持っていることでしょう。
地元の人にはありふれた光景でも、この上陸シーンは非日常体験に間違いありません。

<写真> 南大東村観光協会 HPより

今回の滞在中、沖縄本島からの定期船の到着がなく見ることができませんでしたが、次回は片道でもいいので海路で島を訪ねてみたいです。
ただし、実際は海路での移動はかなり厳しいとのこと。
那覇から南大東島までの400㎞、約15時間の船旅は気象や海況により変更や延期が多く、いわゆる1泊や2泊の短期滞在を希望する観光客には利用しずらい状況であることも事実です。

空路…2泊以上の旅程
海路…1週間前後の滞在ができる旅程

ということになるのです。

◆南大東島の観光ツアー

2泊程度の短期滞在であれば、今回お世話になった大東観光商事垣花さんご夫妻のバスツアーで十分楽しめます。

有限会社 大東観光商事

島のことを熟知しているだでなくホスピタリティにあふれているので、なんでも気軽に質問できる雰囲気を作ってくれます。

おそらく滞在中は、主だった観光スポットにも連れて行ってもらえたと思います。そして何より、バス観光なので60代以上でも安心して楽しめますよ。

▼ふるさと文化センター

▼海軍棒プール

▼日の丸山展望台(からの景色)

▼亀池港

▼可倒式風力発電

▼星野洞

▼南大東漁港

▼バリバリ岩

▼大池オヒルギ展望台

▼ラム酒工場

▼コンテナ植物工場

▼気象バルーン打ち上げ見学

◆1週間滞在ならコレがしたい!

現在、南大東島にはカヌーツアーを営業しているお店が1社あるそうです。
同業の身として、今回はスケジュールの都合でカヌーツアーに参加できなかったことが一番の心残りでした。次回はぜひ参加させていただきたいものです。

南大東島において、海でのシーカヤックは観光ツアーとして現実的ではありませんが、島内の中心部に多数ある「池」でのカヌー体験はかなりの可能性を秘めていると思います。
西表島では河口部に広がるマングローブ林が、南大東島では海ではなく内陸部の池にあります。そして、その池は水位が下がると塩分濃度が高くなるのです。

島は周囲がぐるっと隆起しており、大きなどんぶりのような地形となっています。そのため、島の周囲に比べて集落や池のある中心部はほとんど風があたらないそうです。しかも雨量も西表島に比べると少なく、天候が理由でカヌーツアーが中止になることも少なそうです。

垣花さんにお話しを聞くと、池でのカヌーに関しては今後、盛んになるには利用のルール(フィールドの利用方法やカヌーの保管)、案内するガイドの条件整備なども必要になってくるかもしれない。とのことでした。

その辺に関しては、西表島には西表島カヌー組合があり、1998年の創立以来、自主ルールを約25年に渡り整備してきた実績もあるので、南大東島でカヌーツアーが盛んになってきたら一度は西表島に視察に来ていただきたいですね。

◆散歩、自転車、星空◎ でも海は要注意△

この島の観光は基本的にレンタカーがないと厳しそうですが、長期滞在の方にはレンタサイクルもいいと思います。サトウキビ畑が広がる風景の中、自転車を走らせたら爽快でしょうね。

とにかく人口が1,400名ほどの島で、昼間に観光ポイントをウロウロしてもほとんど人に会いませんでした。この雰囲気は観光地化が進む八重山、宮古島あたりでは味わえません。

そして今回の滞在中、夜には懇親会があってベロンベロンに酔ってしまいましたが、山に囲まれた西表島と違い広い空が見られるこの島の星空はきっと素晴らしいはず…と想像しながら曇った夜空を見上げました。また、この島にはハブもいないそうです。西表島と違って夜道でも安心して歩けますね。

ただし海に関しては白い砂浜が広がるビーチはなく、フェリーも絶壁に寄せなければなりません。漁港も大波の影響を抑えるため20年以上かけて整備するレベルの海域です。

島の人が周りにいない状況で、うかつに海に入って遊ぶのは絶対にやめましょう!

◆八重山で観光業を営む身として思うこと

石垣島を中心とする八重山諸島では「オーバーツーリズム」という言葉をよく耳にします。

西表島においては入島税の導入が検討され、石垣島から竹富町の島々を訪問するのに2,000円という案も出ています。
2025年春にはピナイサーラの滝周辺エリアにおいて入域料の徴収が開始予定です。併せてフィールドで使う携帯トイレ、バイオトイレも有料化されます。

さらにピナイサーラの滝は1日200人までしか立ち入りができないというかなり厳しい制限があり、「離島の離島」「二次離島」である西表島の観光業の将来は不透明感が漂っています。

(参考)竹富町西表島エコツーリズム推進協議会

◆一方、南大東島の観光業は…

「まだまだこれから」という期待感があります。
そもそも観光資源が豊かにある中においても、島で暮らす人々の中心産業はサトウキビです。沖縄県内でもっとも平均所得の高いエリアにあるため、観光まで手を回す必要がない…という感もあるのでしょうか。

そして西表島と同じく、建築資材の輸送費が高く建築コストが高いため移住者が気軽に家を建てられる環境ではありません。高校へ行くため島を離れた子供たちが、やがて島に戻った時に、今は眠っている「観光」という資源をしっかり活用できたらいいですね。

南大東島というと多くの人は台風情報でよく耳にするなというくらいの認識でしょうが、島の人が本気でインバウンド対応を始めたら、欧米からの長期滞在の観光客が訪れそうなポテンシャルを秘めている島だと感じました。


【最終章・まとめ編】へつづく

 【第1章・大移動編】離島から離島へ…行ってきたよ南大東島! 2023年12月12日


先日、ありがたい機会をいただき、絶海の孤島「南大東島」を訪ねてきました。
大変充実した貴重な体験をさせていただいた分、記事も膨大となってしまいました。そのため、今回は3部構成で南大東島の旅を報告させていただきます。

◆竹富町商工会・役職員視察研修

風車は竹富町商工会に所属しており、代表のしゅうさんは現在、理事という役職をいただいております。そして今回は役員、職員で南大東島へ2泊3日で視察研修に行ってきました。

南大東島は沖縄本島から東に約400㎞離れた場所に位置し、西表島と同じ沖縄県ですが滅多に行ける場所ではありません。
今回は、南大東村商工会の役員の皆さまとの交流もあるとのことでしたので、リアルな島の様子、特に観光についての現状が知りたく参加することにしました。

竹富町商工会

◆那覇→北大東島→南大東島

こちらの記事は2023年12月現在の情報です。2024年4月に南大東島と北大東島を結ぶ路線の廃止が発表されました。
産経新聞より「日本一短い航空路線廃止へ」

往路は那覇空港を離陸したのち、北大東島を経由して南大東島へ向かいます。那覇空港から直行ではないので思った以上に飛行に時間を要しました。
ちなみに曜日によって那覇→南大東島→北大東島となります。

飛行機の座席に座ると、頭上の荷物入れに見覚えのある袋が…

「あ、マック!」

そうです。マクドナルドのテイクアウトです。きっと北大東島か南大東島の住民がお土産に持ち帰るのでしょう。

しゅうさんも石垣島へ行くとマックやケンタッキー、ドミノピザなどを家族のためにお持ち帰りします。これぞ「離島あるある」の微笑ましい光景です。

さて、離陸から約50分。経由地である北大東島の沿岸部が見えてきました。

いったん北大東空港へ着陸します。
約30分の乗り継ぎ時間を費やしたのち、目的地である南大東島へ向けて再フライトです。

いよいよ南大東島が近づいてきました。
さきほど寄った北大東島と同じような緑の風景が広がります。

地面をえぐり取ったような造りが特徴の南大東漁港。

ついに南大東空港へ到着!

空港職員の方が我々の荷物を手で運んできてくれました。これが本当の手荷物カウンター!?

到着ロビーでは熱烈な歓迎!
南大東島商工会の皆さん、ありがとうございます!!

◆9時間かけて県内を移動

西表島の自宅を出発したのが早朝6時30分。
今朝は最寄りの上原港から出る船が悪天候により欠航したので、島の反対側にある大原港まで一時間かけて移動。

その後も、石垣空港と那覇空港での待機や乗り換え、北大東島への経由などを経て、午後3時過ぎようやく南大東島へ降り立つことができました。
自宅を出てから約9時間。同じ沖縄県内ですが、もはや海外旅行レベルの移動です!

 6:50 上原港→大原港 バス
 8:10 大原港→石垣港 船
 9:00 石垣港→石垣空港 バス
11:40 石垣空港→那覇 JTA *1
13:15 那覇空港→北大東空港 RAC *2
14:45 北大東空港→南大東空港 RAC
15:05 南大東空港着

*1 日本トランスオーシャン航空
*2 琉球エアコミューター

那覇からフェリーで行く場合は大東海運の「だいとう」が運航されています。寝台なので約15時間の船旅も快適に過ごせそうですね。

大東海運株式会社

ちなみに冒頭でも触れたように、大東諸島は沖縄本島から東に約400kmの位置にあります。わかりやすくいうと東京~大阪間とほぼ同じ距離です。
南大東島がどれほど遠くに位置するのか…想像に容易いことでしょう。

<写真> 南大東村役場 HPより


【第2章・観光編】へつづく

 環境省による環境DNA調査に参加してきました! 2021年2月5日


こんにちは!ガイドの星です☆
今日は先日行われた環境省による環境DNA調査についてご報告いたします!

◆環境DNA調査とは?

普段の生活ではなかなか聞き慣れない「環境DNA調査」という言葉ですが、意味としては、川や池など、その場所で採取したDNAを解析する事で、そこに生息する生物の種類やおおよその個体数の把握ができる調査です。

西表島では多くの人が川や滝などのフィールドに入りレジャーを楽しんでいますが、それが川や滝つぼなどに生息する生き物にどのくらいの影響を及ぼしているのか、この貴重な生物をどのように保全していくのかを把握し、考えるために行われているのが今回の調査です。

昨年から年に3回、各フィールドで行われている環境DNA調査。今回はそのお手伝いに西表島カヌー組合員として同行させてもらいました。

「環境DNA調査」と聞くと難しそうなイメージがあり、初参加の僕自身、できるかどうか不安でしたが、環境省職員の方々にサポートしていただきながら貴重な経験ができました。

今回は2日間にわたり、普段ツアーでよく利用するユツンエリア、西田川エリアの調査を行いました。

◆調査方法

まずは気温や水温、水流などフィールドの情報を記録します。

次に採水、濾し取り作業です。
採水はシリンジ(注射器みたいなもの)を使い、1回に50mlずつ吸い上げます。

水を吸い上げたシリンジの先端にステリベクス(ろ過装置)を取り付け、吸い上げた水を押し出します。すると、ステリベクス(ろ過装置)にDNAだけが濾し取られるしくみです。

これを1つのフィールドで50ml×20回(計1000ml)、繰り返し行います。
後半に進むに連れてろ過装置にゴミがたまり、水を押し出す作業に力が必要になります。これが結構大変です…(汗

1000ml分の水をろ過したら、1つの口をパラフィルム(実験などで用いる高性能フィルム)で閉じます。反対側から保存液を注入し、最後液漏れしないよう、もう片方もパラフィルムで蓋をします。

◆今回の作業はここまで

採取したDNAは調査機関に送られ、数ヶ月後に結果が出るとのこと。自分で調査した場所でどんな結果が出るのかが楽しみです。

実際に環境調査活動に参加するのは今回が初めてでしたが、普段ツアーや休みの日にカヌーやトレッキング、滝つぼ遊びで利用する場所も実際調査に携わってみるとその場所がいかに貴重で大切な場所なのかという事を再認識することができました。

後はさらにフィールドに住む生物に目を向け、環境保全についても深く考えていきたいと思います。

◆まとめ

今回の調査は環境省職員の方に同行していただきレクチャーをしていただきました。
調査活動だけでなく、自然保護の重要性や環境省での取り組みなど、貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。ありがとうございました。

今後もこのような機会があれば積極的に調査活動に参加し、自然保護や西表島への興味を深めていきたいと思います。

 ツアーガイド向け講習会が開催されました! 2021年1月20日


こんにちは。ガイドの星です☆

去る1月13日〜1月15日の3日間、西表島カヌー組合主催のガイド向け講習会に参加してきました。西表島におけるアクティビティツアーの現状や今後の課題などを話し合う、とても内容の濃い講習会でした。また、世界自然遺産の屋久島で活躍されているプロガイドの渡邊太郎氏にもお越しいただき、世界遺産候補地としての西表島が進むべき道しるべについてもお話しいただきました。

◆講習会1日目

初日は環境省による西表野生生物保護センターのバックグラウンドツアー。

イリオモテヤマネコ保護に関する環境省の取り組みや、普段立ち入ることのできないバックヤード(事故による怪我などで保護された野生生物の治療室や野外ケージなど)の視察など、興味深いものばかりでした。

  • ヤマネコなどの野生生物が負傷した際に運び込まれる診察室や手術台の見学
  • 治療が必要な野生生物が野生復帰を果たすまでの過程について
  • ヤマネコの個体数を確認するための新たな調査の開始
  • ロードキル(交通事故)防止のための取組みや課題

などなど、ツアーのゲストからほぼ毎回聞かれる「イリオモテヤマネコ」について、知っているようで知らない事をたくさん教えていただき、野生生物保護に対する考えがより一層深まりました。

今後、西表島に遊びに来る観光客の皆さんへイリオモテヤマネコの生態や生物保護の重要性についてより詳しく、より分かりやすく伝えていきたいと思います。

◆講習会2日目

2日目はフィールドの管理および保全、現状と今後の課題を話し合うための事前視察です。

まずは実際にピナイサーラの滝へ行き、危険箇所や保全、管理が必要だと思われるポイントをリストアップしていきます。

今年一番であろう晴天に恵まれ、講習生全員リラックスムードでジャングルを歩きます。ベテラン、若手関係なく建設的な意見を出し合えた良い時間でした。

◆講習会3日目

最終日は、前日の視察であぶり出された議題について、皆で詳しく話し合いました。中でも特に印象に残ったのは負傷者などの要救助者が出た場合のフィールドでの救助方法、体制についてです。

これまで西表島カヌー組合では救助者を担架で運搬してきましたが、果たして急斜面の多いトレッキングルートにこの方法は適してるのか? という疑問に対し、屋久島でガイドをされている渡邊さんからは「簡易的な持ち運びやすいハーネスを自作しています」といったお話しがありました。

それをヒントに「重い担架ではなく警察が使う遺体袋などを使うのはどうか」など、様々な意見によって改善の余地が生まれました。

他にも救助活動をスムーズに行うための連絡体制の強化についてなど、今回の講習会がきっかけで新たな取り組みが増え、今後、西表島カヌー組合の安全対策がより良いものになると感じるとともに、風車のツアーにも今回得た知識を活かし、今まで以上に安全度の高いガイドをしていきたいと思いました。

屋久島の山岳ガイドである渡邊さんからの目線、講習生である西表島のガイドからの目線。
双方、様々な意見や質問が挙げられ、西表島のフィールド管理や保全、ツアーの安全に関することはもちろん、西表島カヌー組合やそれ以外の西表島全体の業者が今後どうあるべきかなど、深くまで入り込んだ内容の濃い話し合いでした。

◆講習会を振り返って

普段、ツアーで最も行くことの多いピナイサーラの滝ですが、今回の講習会を通して、自分自身では気が付かなかったフィールドの課題や改善点も多く、より安全やフィールド管理に対する意識が強くなりました。

特に渡邊さんによる屋久島での取り組みや課題に関するお話は、世界自然遺産登録を目指す西表島のガイドにとっては具体的なモデルとなり、とても役に立つ内容ばかりでした。

何より今回は渡邊さんをはじめ、環境省、竹富町、沖縄県の職員の方にもお越しいただき、西表島カヌー組合のメンバーも含めた全員が一体となって西表島の将来について話し合う場に参加できたことが、僕自身にとって貴重な経験となりました。

今回の講習会で学んだことを活かし、ゲストの方たちに来る前よりも西表島を好きになってお帰りいただけるようなガイドができたらいいな。と思います!