西表島カヌーツアー風車スタッフブログ

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 環境省による環境DNA調査に参加してきました! 2021年2月5日


こんにちは!ガイドの星です☆
今日は先日行われた環境省による環境DNA調査についてご報告いたします!

 

【 環境DNA調査とは? 】

普段の生活ではなかなか聞き慣れない「環境DNA調査」という言葉ですが、意味としては、川や池など、その場所で採取したDNAを解析する事で、そこに生息する生物の種類やおおよその個体数の把握ができる調査です。

西表島では多くの人が川や滝などのフィールドに入りレジャーを楽しんでいますが、それが川や滝つぼなどに生息する生き物にどのくらいの影響を及ぼしているのか、この貴重な生物をどのように保全していくのかを把握し、考えるために行われているのが今回の調査です。

昨年から年に3回、各フィールドで行われている環境DNA調査。今回はそのお手伝いに西表島カヌー組合員として同行させてもらいました。

「環境DNA調査」と聞くと難しそうなイメージがあり、初参加の僕自身、できるかどうか不安でしたが、環境省職員の方々にサポートしていただきながら貴重な経験ができました。

今回は2日間にわたり、普段ツアーでよく利用するユツンエリア、西田川エリアの調査を行いました。

 

【 調査方法 】

まずは気温や水温、水流などフィールドの情報を記録します。

次に採水、濾し取り作業です。
採水はシリンジ(注射器みたいなもの)を使い、1回に50mlずつ吸い上げます。

水を吸い上げたシリンジの先端にステリベクス(ろ過装置)を取り付け、吸い上げた水を押し出します。すると、ステリベクス(ろ過装置)にDNAだけが濾し取られるしくみです。

これを1つのフィールドで50ml×20回(計1000ml)、繰り返し行います。
後半に進むに連れてろ過装置にゴミがたまり、水を押し出す作業に力が必要になります。これが結構大変です…(汗

1000ml分の水をろ過したら、1つの口をパラフィルム(実験などで用いる高性能フィルム)で閉じます。反対側から保存液を注入し、最後液漏れしないよう、もう片方もパラフィルムで蓋をします。

 

【 今回の作業はここまで 】

採取したDNAは調査機関に送られ、数ヶ月後に結果が出るとのこと。自分で調査した場所でどんな結果が出るのかが楽しみです。

実際に環境調査活動に参加するのは今回が初めてでしたが、普段ツアーや休みの日にカヌーやトレッキング、滝つぼ遊びで利用する場所も実際調査に携わってみるとその場所がいかに貴重で大切な場所なのかという事を再認識することができました。

後はさらにフィールドに住む生物に目を向け、環境保全についても深く考えていきたいと思います。

 

【 まとめ 】

今回の調査は環境省職員の方に同行していただきレクチャーをしていただきました。
調査活動だけでなく、自然保護の重要性や環境省での取り組みなど、貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。ありがとうございました。

今後もこのような機会があれば積極的に調査活動に参加し、自然保護や西表島への興味を深めていきたいと思います。

 ツアーガイド向け講習会が開催されました! 2021年1月20日


こんにちは。ガイドの星です☆

去る1月13日〜1月15日の3日間、西表島カヌー組合主催のガイド向け講習会に参加してきました。西表島におけるアクティビティツアーの現状や今後の課題などを話し合う、とても内容の濃い講習会でした。また、世界自然遺産の屋久島で活躍されているプロガイドの渡邊太郎氏にもお越しいただき、世界遺産候補地としての西表島が進むべき道しるべについてもお話しいただきました。

 

【 講習会1日目 】

初日は環境省による西表野生生物保護センターのバックグラウンドツアー。

イリオモテヤマネコ保護に関する環境省の取り組みや、普段立ち入ることのできないバックヤード(事故による怪我などで保護された野生生物の治療室や野外ケージなど)の視察など、興味深いものばかりでした。

  • ヤマネコなどの野生生物が負傷した際に運び込まれる診察室や手術台の見学
  • 治療が必要な野生生物が野生復帰を果たすまでの過程について
  • ヤマネコの個体数を確認するための新たな調査の開始
  • ロードキル(交通事故)防止のための取組みや課題

などなど、ツアーのゲストからほぼ毎回聞かれる「イリオモテヤマネコ」について、知っているようで知らない事をたくさん教えていただき、野生生物保護に対する考えがより一層深まりました。

今後、西表島に遊びに来る観光客の皆さんへイリオモテヤマネコの生態や生物保護の重要性についてより詳しく、より分かりやすく伝えていきたいと思います。

 

【 講習会2日目 】

2日目はフィールドの管理および保全、現状と今後の課題を話し合うための事前視察です。

まずは実際にピナイサーラの滝へ行き、危険箇所や保全、管理が必要だと思われるポイントをリストアップしていきます。

今年一番であろう晴天に恵まれ、講習生全員リラックスムードでジャングルを歩きます。ベテラン、若手関係なく建設的な意見を出し合えた良い時間でした。

 

【 講習会3日目 】

最終日は、前日の視察であぶり出された議題について、皆で詳しく話し合いました。中でも特に印象に残ったのは負傷者などの要救助者が出た場合のフィールドでの救助方法、体制についてです。

これまで西表島カヌー組合では救助者を担架で運搬してきましたが、果たして急斜面の多いトレッキングルートにこの方法は適してるのか? という疑問に対し、屋久島でガイドをされている渡邊さんからは「簡易的な持ち運びやすいハーネスを自作しています」といったお話しがありました。

それをヒントに「重い担架ではなく警察が使う遺体袋などを使うのはどうか」など、様々な意見によって改善の余地が生まれました。

他にも救助活動をスムーズに行うための連絡体制の強化についてなど、今回の講習会がきっかけで新たな取り組みが増え、今後、西表島カヌー組合の安全対策がより良いものになると感じるとともに、風車のツアーにも今回得た知識を活かし、今まで以上に安全度の高いガイドをしていきたいと思いました。

屋久島の山岳ガイドである渡邊さんからの目線、講習生である西表島のガイドからの目線。
双方、様々な意見や質問が挙げられ、西表島のフィールド管理や保全、ツアーの安全に関することはもちろん、西表島カヌー組合やそれ以外の西表島全体の業者が今後どうあるべきかなど、深くまで入り込んだ内容の濃い話し合いでした。

 

【 講習会を振り返って 】

普段、ツアーで最も行くことの多いピナイサーラの滝ですが、今回の講習会を通して、自分自身では気が付かなかったフィールドの課題や改善点も多く、より安全やフィールド管理に対する意識が強くなりました。

特に渡邊さんによる屋久島での取り組みや課題に関するお話は、世界自然遺産登録を目指す西表島のガイドにとっては具体的なモデルとなり、とても役に立つ内容ばかりでした。

何より今回は渡邊さんをはじめ、環境省、竹富町、沖縄県の職員の方にもお越しいただき、西表島カヌー組合のメンバーも含めた全員が一体となって西表島の将来について話し合う場に参加できたことが、僕自身にとって貴重な経験となりました。

今回の講習会で学んだことを活かし、ゲストの方たちに来る前よりも西表島を好きになってお帰りいただけるようなガイドができたらいいな。と思います!